’25 関西学生リーグ後期第10節/激闘を制し、関学大が3年ぶり32回目の優勝!桃山大、京産大がインカレ出場決定。残留争いは各チーム最終節に運命を託す。

接戦の関西学生リーグもいよいよ大詰め。勝利して目指すところへたどり着いたチームも、叶わず次節へ望みを託すチームも、持てる力を出し切る熱いプレーは見るものの心を揺さぶる熱さがある。

前節インカレ出場権を獲得した甲南大に対し、勝利してインカレへ近づきたい大阪体育大。試合は、大体大がその気持ちを前面に出して序盤から勢いを持って甲南大陣内へと攻め込み、積極的にシュートを放つが、甲南大の堅い守りを崩せない。甲南大もセットプレーを得ると、MF泉彩稀(4年/ヴィッセル神戸U-18)の正確なキックで得点を狙うも決定機は作れず、スコアレスでハーフタイムを迎える。
後半も勢いを落とさずに甲南大陣内へボールを運んだ大体大が先手を取る。60分、再三のスローインから相手をゴール前に釘付けにすると、MF山本修也(4年/作陽高)のパスをゴール前でFW上岡士恩(1年/広島県瀬戸内高)がおさめて戻したボールにMF佐野竜眞(4年/広島県瀬戸内高)が走りこんで合わせてゴール。その後も大体大は攻撃の圧を落とすことなく甲南大ゴールへと襲い掛かるが、追加点は奪えない。しかし、後半は甲南大をシュート0に封じ、ウノゼロの勝利でインカレ出場権へリーチをかける大きな勝利をつかんだ。

第4節以降勝利がない大阪学院大は1部残留のためには何としても勝ち点3を獲得したい一戦。前半は速い出足でセカンドボールを奪うとテンポよく攻め込んでいく。セットプレーでも関西福祉大のゴールを脅かす場面を多く作るが、関福大もしっかりと対応して簡単にはゴールを割らせない。だが、54分、右サイドでMF後藤雅人(1年/大分トリニータU-18)が縦に出したパスをFW鈴木仁也(4年/鹿島学園高)がドリブルで持ち込みクロスを入れると、逆サイドからMF庄大空(2年/静岡学園高)が飛び込み、大院大が先制する。その後も攻撃の手を緩めず攻め込む大院大は、90分にもMF芦高佑(4年/長崎総合科学大学附属高)が左サイドからゴール前に入れたボールにFW肥後潤(3年/浜松開誠館高)が頭で合わせて追加点。クリーンシートで勝利を挙げ、残留へ大きく前進した。

先制点を決めた庄がチームメイトと喜び合う

大阪経済大は前節、痛恨の敗戦。この日は敗れると他チームの結果次第では降格が決まってしまうため、貪欲にゴールを目指すプレーで桃山学院大のゴールへ迫った。しかし18分、MF原田幹太(3年/レノファ山口U-18)の縦パスに右サイドのMF厚地陽賢(3年/ルーテル学院高)が駆け上がりゴール前にパス。FW藤枝康佑(4年/東山高/松本内定)がダイレクトで合わせて桃山大が先攻する。大経大もここから攻撃のギアを上げると、35分にMF宮地陸翔(1年/京都橘高)が右に開いたFW山本青英(3年/東海大学付属大阪仰星高)に出すと、FW山本青英が持ち込みゴール前にクロス。相手GKの前に入ったFW下崎琉宝(3年/興國高)がうまく合わせて同点とする。さらに44分には、MF片山颯真(3年/ヴィッセル神戸U-18)が裏に出したボールにFW下崎琉宝が追いついて出したマイナスのパスをFW山本青英が決めて逆転して前半を終了する。
前半はわずかシュート1本に終わった桃山大だったが、後半はシュートへ直結する場面を多く作るようになる。62分、MF原田の左CKをFW藤枝が高い打点で合わせて同点にすると、65分にはMF原田がゴール前でクリアボールをダイレクトで打ち込み、逆転に成功する。このままでは終われない大経大は、73分、FW山本青英が右サイドからゴール前に入れたクロスに、FW下崎琉宝がヘディングで合わせたこぼれ球を、FW山本諒(1年/近江高)が詰めて、試合を振り出しに戻す。両者気迫あるプレーで勝ち越しを狙うが、乱打戦のドロー決着となった。桃山大は勝ち点1を上乗せして5大会ぶりのインカレ出場が決定。大経大は最終戦に残留の望みをつなげる結果となった。

“京都ダービー”は思わぬ形で試合が動いた。キックオフから優勢に試合を進めていた京都産業大だったが、24分自陣でパスを回していたところを、京都橘大FW松村尚樹(4年/鹿島学園高)に奪われると、松村のシュートは無人のゴールへ吸い込まれ、先制を許してしまう。両サイドのスピードある攻撃から反撃を狙う京産大だが、前半はGK岡田修樹(4年/京都サンガF.C.U-18)を中心とした京都橘大の守りを崩せないまま終わる。
「自分たちのミスから失点したが、大きなひずみが起こったわけではない。ネガティブになることはなかった」と京産大・吉川拓也監督が振り返ったように、後半もらしさを生かして京産大がゲームを支配すると、49分、MF皿良立輝(2年/セレッソ大阪U-18)がゴール前に入れたロビングに、DF沖野眞之介(1年/高川学園高)がDFの後ろからヘッドでたたきつけて、早々と同点にする。69分にはDF田代紘(3年/ヴィッセル神戸U-18)のロングフィードを受けたFW高川諒希(1年/カターレ富山U-18)がDFを巧みにかわしてGKとの一対一を制し、勝ち越し。京都橘大も得点を狙って果敢に攻めるが、京産大が守り切り、3大会連続のインカレ出場を確定した。

同点弾を決めたルーキー沖野を仲間が称える

土曜日に大阪体育大が勝利したため、同志社大はインカレ出場の可能性が消滅。しかしチームの士気は落ちることなく、伸び伸びとしたプレーで関西大を圧倒する。まずは12分、左サイドのDF渡邉良(3年/草津東高)が切り返してマークを外し、クロスを入れる。関西大DFがクリアするが、そのこぼれをFW松隈弘樹(4年/神戸弘陵学園高)が仕留める。関西大も26分、DF桑原航太(3年/帝京長岡高/磐田内定)のアーリークロスに逆サイドから走り込んだDF藤谷温大(1年/柏レイソルU-18)がヘッドで叩き込み、同点とする。
追いつかれても同志社大は勢いを緩めず、後半一気に畳み掛ける。まずは52分、MF鹿取勇斗(4年/桐光学園高/熊本内定)がゴール前に送ったボールを、関西大がクリア。それを拾ったDF渡邉が右足一閃の強烈なミドルを決めて勝ち越し。54分には相手のバックパスをMF前田一勇(4年/星稜高)が奪い取り、そのままネットを揺らす。さらに60分、FW松隈が中に入れたボールをMF室勇志(4年/大阪桐蔭高)が左にはたき、走り込んたMF前田がこの日2点目を決めて突き放す。関西大もGK生嶋健太郎(4年/静岡学園高)が好セーブで幾度もピンチを防ぐが、攻撃が単発に終わり、タイムアップ。インカレ出場の可能性は残されているが、極めて厳しい状況となった。

ノリノリで攻撃を仕掛けた同志社大。ゴールを決めた渡邉に皆が駆け寄る

優勝を懸けた大一番は、緊張感ある試合となった。立ち上がりは阪南大がペースをつかみ関学大ゴールを脅かすが、関西学院大も徐々にリズムを掴むと、20分、セカンドボールを拾ったMF酒井柊維(4年/藤枝東高)が右へ展開。これを受けたDF山本楓大(3年/サガン鳥栖U-18/京都内定)のクロスにMF先田颯成(2年/サガン鳥栖U-18)がダイレクトボレーで合わせて、鮮やかな先制点を奪う。阪南大はMF櫻井文陽(4年/阪南大学高/群馬内定)が巧みなパスワークで両サイドを動かしてチャンスにつなげるが、32分、MF内田康介(2年/名古屋グランパスU-18)が縦に出したところにDF山本楓大が走り込み、クロスを上げると逆サイドのMF先田が再び決めて、関学大が2点をリードして前半を折り返す。
阪南大は、交代カードを切って試合のリズムを変えてくる。74分、MF櫻井が左サイドでフリーになったFW金本毅騎(3年/セレッソ大阪U-18/C大阪内定)に出すと、FWがマークを外して絶妙のクロス。逆サイドのニアでMF篠田純之助(4年/東福岡高)が頭で決めて追い上げる。関学大も88分、MF木場拓実(4年/桐生第一高)が中へ入れると、MF前北直哉(3年/帯広北高)がスルー。MF棟近禎規(2年/興國高)が右にはたいたボールをMF先田がシュートし、ハットトリックを達成する。だが、阪南大も粘り強さを見せる。90分、MF櫻井の直接FKをFW坪井風汰(3年/東邦高)がヘディングゴールで、再び1点差とする。8分に及んだATも、阪南大が押し込む時間帯が続くが、関学大も身体を張って防ぎきり、3年ぶりとなる32回めの優勝を決めた。

主将・三宅がカップリフト。全員で喜びを分かち合った。

《2025年 第103回 関西学生サッカーリーグ後期第10節》
▽2025/11/08 11:30 Kick off – 三木総合防災公園第2陸上競技場
大阪学院大 2-0(0-0) 関西福祉大
得点:’54 大院大/庄大空(鈴木仁也)、’90 大院大/肥後潤(芦高佑)

▽2025/11/08 14:00 Kick off – 三木総合防災公園第2陸上競技場
京都産業大 2-1(0-1) 京都橘大
得点:’24 京都橘/松村尚樹、’49 京産大/沖野眞之介(皿良立輝)、’69 京産大/高川諒希(田代紘)

▽2025/11/08 11:30 Kick off – 大阪体育大学人工芝サッカー場
甲南大 0-1(0-0) 大阪体育大
得点:’60 大体大/佐野竜眞(上岡士恩、山本修也)

▽2025/11/08 14:00 Kick off – 大阪体育大学人工芝サッカー場
桃山学院大 3-3(1-2) 大阪経済大
得点:’18 桃山大/藤枝康佑(厚地陽賢、原田幹太)、’35 大経大/下崎琉宝(山本青英)、’44 大経大/山本青英(下崎琉宝)、’62 桃山大/藤枝康佑(原田幹太)、’65 桃山大/原田幹太、’73 大経大/山本諒(下崎琉宝、山本青英)

▽2025/11/09 11:30 Kick off – ヤンマースタジアム長居
関西大 1-4(1-1) 同志社大
得点:’12 同志社/松隈弘樹、’26 関西大/藤谷温大(桑原航太)、’52 同志社/渡邉良、’54 同志社/前田一勇、’60 同志社/前田一勇(室勇志、松隈弘樹)

▽2025/11/09 14:00 Kick off – ヤンマースタジアム長居
関西学院大 3-2(2-0) 阪南大
得点:’20 関学大/先田颯成(山本楓大、酒井柊維)、’32 関学大/先田颯成(山本楓大)、’74 阪南大/篠田純之助(金本毅騎)、’88 関学大/先田颯成(棟近禎規、木場拓実)、’90 阪南大/坪井風汰(櫻井文陽)

蟹江 恭代

関西を中心に、大学サッカーの写真を撮ったり、記事を書いたりしています。

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