《2025年度 第103回 関西学生サッカーリーグ 第4節》
2025/04/19 14:00 Kick off – ヤンマースタジアム長居
阪南大 1-3(0-0) 甲南大
得点:’67 甲南大/泉彩稀(CKを直接)、’71 甲南大/泉彩稀、’82 阪南大/山田晃市(金本毅騎)、’90 甲南大/宮崎陽

難しい試合を勝ち切った。立ち上がりから阪南大の強力な攻撃に自陣でプレーする時間帯を多く作られていた甲南大だが、GK山田克樹(4年/東海大学付属大阪仰星高)のビッグセーブもあり、前半をスコアレスで折り返す。ハーフタイムでしっかりと意識を統一して、後半は徐々に試合の主導権を握る割合を増やしていくと、67分MF泉彩稀(4年/ヴィッセル神戸U-18)が左足で蹴ったCKがGKの伸ばした手の上から落ちるようにゴールに吸い込まれて先制点を奪う。71分にはロングスローのこぼれ球をまたしても泉が押し込み追加点。阪南大に1点を許したものの、終了間際にはリーグ初出場のFW宮崎陽(1年/V・ファーレン長崎U-18)もうれしい大学初ゴールを決め、昨季の王者を下した。
この日2得点とチームを勝利に導いた主将の泉は「直接狙ったわけじゃないですけど、左利きなのでゴールを向かうボールで高いところを狙ったら、うまいこと吸い込まれていったっていう感じです」と先制点を振り返り、2点目についても「ロングスローは、僕や岡本大生(4年/奈良育英高)や伊藤小次郎(2年/V・ファーレン長崎U-18)がニアで競ったあとに入っていくのを練習でもやってて、あそこに流れてきそうやなと思ったらほんまに来たのでラッキーでした」と笑顔で成果を口にした。

今年の甲南大はこの日のように前半劣勢を強いられるときも、ハーフタイムに意識をすり合わせて後半に巻き返す展開へとシフトできている。竹口清一監督からの指示だけでなく、後ろから試合を見ている副将のGK山田やDF有吉勇人(4年/広島県瀬戸内高)のアドバイスを選手たちがうまく消化して試合へと落とし込めているからだ。加えて「泉はカリスマがあって引っ張ってくタイプではないけれど、キャプテン像を追い求めながら、リーダーシップや周りへの影響力が着いてきて、その影響力の輪っていうのが大きくなってきてるなっていう感じはします」と竹口監督が評するように、泉が真剣にサッカーに、部活に向き合っている姿を見て全員が同じ方向へと向いていることがここまでいい循環になっている。
甲南大のサッカー部は歴史は長いが、周囲から「強豪」と受け止められるには至っておらず、中にいる部員たちも対戦前から相手の名前に気後れしたり、負けても仕方ないという雰囲気を見せるところもあった。泉は「意識とか基準のとこから変えないといけない」と目線を高く持ってチームに向き合ってきた。「強いチームの基準でやろう」というキャプテンの覚悟が全員に浸透して、少しずつ目に見える結果につながっている。

泉の兄はびわこ成蹊スポーツ大を経て、大宮アルディージャで活躍する泉柊椰。ドリブラーの兄とは異なり、泉はチームの潤滑油としての役割を果たし、守備の穴を確実に塞いでいくプレースタイルだが、神戸U-18時代はアタッカーを主戦場とし、本格的にボランチに取り組んだのは大学に入ってからだ。「パスを出すところは扇原(貴宏)選手(ヴィッセル神戸)、潰しに行くプレーは山口蛍選手(V・ファーレン長崎)を参考にしたり、つなぎは脇坂泰斗選手(川崎フロンターレ)や田中碧選手(リーズ・ユナイテッド)から学んで、自分のボランチ像みたいなのをちょっとずつ作ってきました」と言うように、大学で成長していまや甲南大の中盤には欠かせぬ存在となった。上のステージで兄と対戦することを目標としているが、「試合をコントロールする選手でもゴールにつながるパスとか、ゴールに向かっていくっていうところをもっと出していかないと」と攻撃面でも怖さを出せるプレイヤーへと成長を誓う。試合を決める主将のプレーで、チームと個人の目標を掴み取っていきたい。

