’25 関西学生リーグ後期第9節/接戦を制した関学大と阪南大がともに勝利。次節は直接対決で優勝を争う大一番に。熾烈な残留争いはAT劇的弾で勝利の京都橘大が残留圏へ浮上。

残り3試合とリーグ戦も佳境に入った。優勝もインカレ出場権も、残留もそれぞれ僅差での争いが続き、消化試合は存在しない。今節はすべてが1点差の勝負となり、いずれ劣らぬ熱戦となった。

桃山学院大はホームグラウンドで首位の関西学院大を迎えての一戦。応援を背に優勢に試合を進めたい。試合は17分、DF山本楓大(3年/サガン鳥栖U-18/京都内定)のアーリークロスを、ゴール前でFW小西春輝(4年/サガン鳥栖U-18)がおさめると、相手DFを背負いながらも反転して左足を振りぬき、関学大が先制。桃山大は前半は押し込む場面を作りながらもシュートを打ち切れずにハーフタイムとなる。
関学大は後半開始早々の46分、相手からボールを奪ったDF山本楓大がドリブルで持ち込み、横パス。これをMF先田颯成(2年/サガン鳥栖U-18)がDFの股を抜くシュートで追加点をマーク。すると桃山大もここから反撃に出る。持ち味である走力を生かしてチャンスにつなげていくと、64分、関学大の攻撃を防いだDF井上秀悟(3年/ガンバ大阪ユース)がそのまま中央をドリブルで持ち上がり、左サイドのFW加藤緒(4年/立正大学淞南高)へパス。FW加藤がえぐってあげたクロスにDF井上が走りこんで合わせ1点を返す。79分にはDF井上からパスを受けたMF田中裕翔(3年/大阪桐蔭高)が巧みなターンからコントロールショットを放つが、関学大GK宮本流維(4年/名古屋グランパスU-18)の好セーブに阻まれる。最後まで集中した守備を見せた関学大が1点のリードを守り切り、優勝争いを一歩リードする勝ち点3を獲得した。

ゴールを決めたガッツポーズの関学大・先田

第一試合で関学大が勝利したため、甲南大は優勝の可能性が消滅。しかし、順位を上げてインカレ出場権を得るためには連敗はできない。対する関西大は前節、阪南大に大敗した悪循環を断ち切るためにも結果を出すべく、序盤から勢いを持って攻撃を仕掛ける。それが実ったのが19分、MF宮川大輝(2年/ガンバ大阪ユース)の縦パスをMF三木仁太(4年/ガンバ大阪ユース/藤枝内定)が深い位置まで持ち込み粘って反転し、ゴール前に入れたボールを逆サイドから入ってきたMF藤谷温大(1年/柏レイソルU-18)が合わせて先取点とする。甲南大もセットプレイからチャンスを作るが、関西大も身体を張って立ちふさがる。しかし40分、MF西村日陽(4年/ジュビロ磐田U-18)から出たボールを受けたMF諏訪晃大(3年/桐生第一高)がドリブルで持ち上がると、切り返して相手をかわし、左足でゴール左上に決めて甲南大が同点に追いつく。
良い時間帯に追いついた勢いそのままに、後半も甲南大がペースを掴む。58分、DF有吉勇人(4年/広島県瀬戸内高)のスルーパスにDF赤熊大和(3年/就実高)が抜け出してグラウンダーのクロスを入れると、逆サイドから走り込んだMF初田然(4年/清風高)が決め、逆転に成功。さらに65分にはMF岡本大生(4年/奈良育英高)がエリア内で倒されてPKを獲得。だが、MF泉彩稀(4年/ヴィッセル神戸U-18)のキックは、GK生嶋健太郎(4年/静岡学園高)が防ぎ、追加点はならず。関西大も交代選手を投入して、攻撃に変化をつけてゴールを狙うが甲南大の分厚い守備を崩し切ることはできずそのままタイムアップ。この結果により、甲南大は創部初となるインカレ出場を決めた。

甲南大の逆転ゴールに応援の方々も笑顔で拍手

6試合負けなしの京都産業大だが、引き分けも多くなかなか混戦から抜け出せない。前期の対戦では大阪学院大に封じられており、同じ相手に二度は負けられない。この日は立ち上がりから京産大がペースを握って試合を進めていくが、大院大も身体を張った守備でこれに対応する。均衡が破れたのは21分、MF福永裕也(2年/京都橘高)が左サイドをドリブルで駆け上がり、グラウンダーのクロスを供給。大院大DFがクリアするも、そのこぼれを拾ったDF田代紘(3年/ヴィッセル神戸U-18)の低い弾道のシュートがゴールネットを揺らし、京産大が先手を取る。その後もサイド攻撃から京産大がチャンスを量産するが、大院大もGK上久保琉(4年/創志学園高)の好セーブで追加点を許さない。
残留争いから抜け出したい大院大も後半は巻き返しを図ってくる。MF鈴木聡太(2年/セレッソ大阪U-18)の推進力を生かしてチャンスにつなげようとするが、京産大も連動した守備で失点を防ぎきり、インカレ出場権へ前進するウノゼロの勝利を挙げた。

ミドルシュートを決めた田代を仲間たちが祝福する

前節の敗戦で2部降格が決定した関西福祉大だが、試合前の円陣で「チームの未来のために戦おう」という声があったように、モチベーションを落とすことはなく残り試合に挑む。対戦相手の大阪経済大にとっては、残留のためにも負けられない試合だ。試合を早々に動かしたのは関福大。4分、左CKからDF福本開(2年/ガンバ大阪ユース)のシュートのこぼれ球を拾ったMF新屋颯波(1年/熊本国府高)がファーに上げたボールをFW岩田凌汰(2年/大社高)がヘッドで突き刺し、後期初めて先行する。大経大も挽回すべく猛攻を仕掛ける。パワーと高さで関福大陣内へ迫ると、36分、ゴール前でMF宮地陸翔(1年/京都橘高)が倒されPKを獲得。FW下崎琉宝(3年/興國高)がしっかりと決めて同点としたのも束の間、42分にDF福本の右CKをDF岡楓太(3年/高川学園高)がヘッドでニアに決めて再びリードを奪い、ハーフタイムを迎える。
大経大は後半頭から人を入れ替えて一気に圧力を増していく。すると55分、MF片山颯真(3年/ヴィッセル神戸U-18)の地を這うミドルシュートが右に決まり、再度同点とする。ここからは両チーム、一歩も譲らぬ展開に。激しいぶつかり合いで75分には関福大DF田實優翔(2年/日章学園高)が競り合った際に脳震盪を起こし、ピッチ内に救急車が入る事態となる。14分という長いATに最後のドラマが待っていた。90+10分、DF福本のCKをファーでDF鞘本嶺(4年/神戸弘陵学園高)が足を伸ばしてゴールへ押し込み、3度めの勝ち越し。後期初勝利でこれからの関福大にとって大きな一勝をつかみとった。

勝ち越しゴールをきめて、笑顔で駆け出す関福大・鞘本

首位・関学大を勝ち点3差で追う阪南大と、インカレ出場のためには勝利が必須の同志社大の対戦も互いに譲らぬ戦いとなった。序盤は同志社大が勢いを持って相手陣内へと迫るが、阪南大も次第にペースをつかみ、好機を作っていくが、どちらも決定機を作りながらもスコアレスで前半を終了する。
後半も一進一退の展開。52分には同志社大が左サイドで繋ぎ、FW野頼駿介(3年/桐光学園高)が鋭いシュートを放つが、阪南大GK福島真斗(3年/高川学園高)がストップ。阪南大も82分、MF松本楓悟(4年/阪南大学高)が左隅を狙うが、枠を捉えられず。このままスコアレスで終わるかと思われた89分、阪南大は速いリスタートからMF櫻井文陽(4年/阪南大学高/群馬内定)がゴール前にクロス。FW金本毅騎(3年/セレッソ大阪U-18/C大阪内定)が巧みにマークを剥がしてシュートを流し込み、これが決勝点となる。阪南大は次節、関学大との首位決戦に優勝への望みをつなげる結果となった。

エース・金本の決勝点で勝ちきった阪南大

大阪体育大vs京都橘大はスタイルが異なる2チームの戦い。前期は大体大が4-0で圧勝している。京都橘大はMF松本海音(2年/京都橘高)がサイドからテンポよく仕掛けてチャンスメイク。大体大もMF佐藤陽成(4年/北海道コンサドーレ札幌U-18/札幌内定)が上手さを見せて決定機につなげるが、どちらも得点を取れぬまま前半は終了する。
後半になると大体大が一気に攻撃の圧を高めてくる。MF佐野竜眞(4年/広島県瀬戸内高)が迫力あるドリブルで敵陣を切り裂き好機を作るが、京都橘大も粘り強く対応していく。しかし70分、MF辻耕大(4年/東福岡高)のロングスローの跳ね返りを拾ったMF三島典征(1年/立正大学淞南高)がミドルシュートを決め、大体大が先制する。残留のためには負けられない京都橘大もFW松村尚樹(4年/鹿島学園高)のシュートがはじかれたところをMF松本が押し込み、74分に同点に追いつく。その後もスピードとパワーで押し込んでくる大体大の攻撃を耐えていた京都橘大だが、89分に攻守の要であるMF住芳樹(2年/京都サンガF.C.U-18)が2度目の警告で退場となってしまう。数的不利の中、身体を張って大体大の猛攻を防いだ京都橘大は、90+7分、CKのピンチをしのぐとDF沖秀大(4年/東海大学付属大阪仰星高)が縦パスに抜け出し、前進。DFをかわしてゴールへと突き進むと、逆サイドでフリーのFW小橋川海斗(3年/米子北高)へパスを送り、FW小橋川が決めて逆転。残留へ向けて価値ある勝ち点3を得た。

劇的勝利に橋詰監督もスタッフと抱き合って喜ぶ

《2025年 第103回 関西学生サッカーリーグ後期第9節》
▽2025/11/01 11:30 Kick off – 桃山学院大学メイングランド
関西学院大 2-1(1-0) 桃山学院大
得点:’17 関学大/小西春輝(山本楓大)、’46 関学大/先田颯成(山本楓大)、’64 桃山大/井上秀悟(加藤緒)

▽2025/11/01 14:00 Kick off – 桃山学院大学メイングランド
関西大 1-2(1-1) 甲南大
得点:’19 関西大/藤谷温大(三木仁太)、’40 甲南大/諏訪晃大、’58 甲南大/初田然(赤熊大和)

▽2025/11/02 11:30 Kick off – 京都産業大学神山球技場
京都産業大 1-0(0-0) 大阪学院大
得点:’21 京産大/田代紘

▽2025/11/02 14:00 Kick off – 京都産業大学神山球技場
大阪経済大 2-3(1-2) 関西福祉大
得点:’4 関福大/岩田凌汰(新屋颯波)、’36 大経大/下崎琉宝(PK)、’42 関福大/岡楓太(福本開)、’55 大経大/片山颯真(中本昇)、’90+10 関福大/鞘本嶺(福本開)

▽2025/11/03 11:30 Kick off – 三木総合防災公園第2陸上競技場
同志社大 0-1(0-0) 阪南大
得点:’89 阪南大/金本毅騎(櫻井文陽、松本楓悟)

▽2025/11/03 14:00 Kick off – 三木総合防災公園第2陸上競技場
大阪体育大 1-2(0-0) 京都橘大
得点:’70 大体大/三島典征、’74 京都橘大/松本海音、’90+7 京都橘大/小橋川海斗(沖秀大)

蟹江 恭代

関西を中心に、大学サッカーの写真を撮ったり、記事を書いたりしています。

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