《「アミノバイタル®」カップ2025 第54回 関西学生サッカー選手権大会準決勝》
2025/06/26 14:30 Kick off – 万博記念競技場
京都産業大 4-1(2-1) 関西大
得点:’17 京産大/皿良立輝、’40 関西大/吉村瑠晟(桑原航太、堀颯汰)、’42 京産大/皿良立輝(妹尾颯斗)、’50 京産大/大倉慎平、’90+4 京産大/福永裕也

京産大・吉川拓也監督の「(天皇杯の)町田戦が終わってからは、この関西選手権のタイトルを獲るっていうのがチームで共有して、掲げた目標」という言葉を裏付けるように、選手たちは決勝まで駆け上がった。
関西大にはここ2年、勝利がない。相性が悪いわけではないが、勝てない相手だった。この日は序盤の関西大の攻撃をしのぐと、17分にバイタルエリアでこぼれ球を拾ったMF皿良立輝(2年/セレッソ大阪U-18)がミドルシュートを決めて先制。40分にクロスボールへ対角から入ってきたDF吉村瑠晟(4年/神戸弘陵学園高/磐田内定)にヘッドで決められ同点にされるが、直後の42分にMF皿良の巧みなシュートで再びリードを奪う。後半に入り50分、CKのこぼれ球をMF大倉慎平(1年/ガンバ大阪ユース)が技ありシュートでリードを広げると、’90+4分にはMF福永裕也(2年/京都橘高)が勝負を決めるダメ押し弾。2年連続の決勝進出となった。
今年はシーズン前の京都選手権も4位、リーグ戦でもドローが続き、勝ち点3が遠かった。5月下旬に阪南大、大院大と連敗したとき「京産らしいアグレッシブさが失われてるな」と感じた吉川監督が、選手たちがアグレッシブにプレーするためにどうチームを作っていくか悩み、スタッフ陣、4回生とも相談を重ねて、3-4-3システムへのチャレンジに踏み切った。

3バックシステムの肝となっているのが、田代紘(3年/ヴィッセル神戸U-18)だ。本来はボランチの選手である田代がひとつ後ろのポジションで対人の強さ、読みの良さを発揮して、守備の安定を支えている。「(田代)紘が本当にやりたいポジションはボランチだと思うんですけど、チームのアグレッシブさを取り戻すという中で、紘をあそこ(3バックの右)に置いた意味があるオプションをこの先、少しずつ出していく場面がでてくると思う」とさらなる進化への準備も怠りない。
システム変更の時期に行われた天皇杯・FC町田ゼルビア戦もチームの成長に大きな力を与えた。皿良も「目指す場所というのを全員が再確認できた試合。次の日からそれを意識して練習に取り組んできた」と振り返ったように、町田戦が今年の京産大のターニングポイントとなった一戦になったことはまちがいなく、「トレーニングで隙や甘さがなくなった」という吉川監督の言葉どおりに選手たちが町田戦で感じた基準の高さを日々の練習へと落とし込み、結果へと結びついていった。
「今のチーム状況であればタイトルを取らなあかん。あとひとつしっかり勝てれば、町田戦は自分たちにとってポジティブな試合となる」と力を込める吉川監督の言葉は、選手たちの大きな柱となっているに違いない。あの場に立ったものしか得られなかった経験値を活かしていくためにも、去年は届かなかった関西王者を今年こそは獲得する。
