《天皇杯 JFA 第105回全日本サッカー選手権大会1回戦》
▽2025/06/11 18:30 Kick off – 町田GIONスタジアム
FC町田ゼルビア 2-1(0-0) 京都産業大
得点:’58 京産大/長谷川裟恭、’86 町田/藤尾翔太、’90+2 町田/相馬勇紀(PK)
天皇杯1回戦で守山侍2000に劇的勝利を収めた京都産業大は、3バックにフォーメーションを変更。新システムが機能した6月8日の関西選手権3回戦では摂南大に8-0と手応えを掴み、FC町田ゼルビア戦に臨んだ。
開始早々から京産大が仕掛けた。前線からのハイプレスでFW妹尾颯斗(3年/サンフレッチェ広島F.Cユース)がボールを奪うと右クロスを供給。 ペナルティエリア内に走りこんできたMF長谷川裟恭(4年/京都橘高)が滑り込み、得点を狙うが惜しくも枠外となった。長谷川が「カウンターで相手も入りが悪かったので、ここしかないと思って走っていた。今思うと悔しい」と試合後に悔しさとともに振り返るシーンであったが、3トップはその後もハイプレスを仕掛けてDFラインの引き上げに成功。さらに前線からボールを奪い、町田ゴールに迫った。「引かずにアグレッシブにハイプレスをかけるというところは上手くいっていた」と吉川拓也監督も攻撃の選手のプレーを評価。しかし、25分過ぎから攻め込まれる展開が続くと、29分にはGK徳若碧都(4年/高川学園高)が弾いたこぼれ球を押し込まれあわや失点かと思われたが、オフサイド判定に救われ0-0で前半を折り返した。
「今日のゲームは15分を6セット、延長まで考えると8セットで考えていた。町田さん相手に90分ゲームをコントロールするのは難しい想定だったので、15分ずつ乗り切っていこうと選手たちには話した。前半の良し悪し関係なく、次の4セット目をしっかり迎えようと、試合前とハーフタイムでは大きな指示の変更はなかった」と吉川監督が話したように、前半の内容に引っ張られることなく後半戦を迎えた。
後半も前半同様に背後を狙う姿勢を崩さない京産大は、前線からのボール奪取を狙い、ラインを高い位置で維持し続けた。ウイングバックを任されたMF滝口晴斗(3年/サンフレッチェ広島F.Cユース)は、50分にインターセプトでボールを奪うと右サイドから好機につなげていく。58分、ファーサイドでボールを要求するMF末谷誓梧(3年/セレッソ大阪U-18)へMF滝口がロングパスを供給すると、MF末谷が頭で折り返したボールをMF長谷川が体勢を崩しながらも左足を振り抜き、先制ゴールを決めた。「ゴールを意識してプレーしている中でいいボールがこぼれてきたので、流し込むだけだった」と長谷川は得点シーンを振り返る。
先制を許した町田はFW相馬勇紀を投入。3-4-3のフォーメーションを崩し、前線に4,5枚の選手を配置してゴールを奪いにかかる。京産大は前半からラインコントールを徹底していたため、DF陣の疲労もピークに到達。86分に左クロスをMF藤尾翔太に頭で押し込まれ失点すると、ATにMF滝口が相馬を倒したプレーがファウルと判定されてPKを献上。ゴール左に決められ、わずか4分で逆転を許した。「キーパーとしても、キャプテンとしても止めたかった」とGK徳若は終盤の失点に悔しさを滲ませた。京産大は最後まで攻守に力を出して得点を狙ったが、1-2で試合終了。惜しくもジャイアントキリングを成し遂げられず、涙の2回戦敗退となった。
試合後、吉川監督は「こういう涙を流すっていうのは本当に本気で今日のゲームを戦ったから。ただ、それをしっかりと毎週の関西リーグで毎試合同じように臨めるのかというと、まだまだ課題はある。これくらい本気で毎試合サッカーに向き合えば、こういう舞台でまたプレーできるのかなと思います」と試合を締め括った。
日本を代表するJリーグチームとの一戦は、チームとしても選手個人としても大きな経験値となった。手応えを感じる選手もいれば、プロとの差を痛感する選手もいる。今日の手応えと悔しさを糧に学生リーグでの飛躍を期待したい。