’25 関西学生リーグ後期第6節/上位チームは揃って勝ち点3を獲得し、順位は変わらず。優勝、インカレ出場権、残留争いはいずれも熾烈に

3連戦の2試合目はミッドウイークに開催。ようやく関西も涼しさを感じられる気候となってきたが、試合の熱はここへ来てさらに増している。

前節、同志社大に引き分けた桃山学院大は、2019年以来のインカレ出場をつかみ取るためにも負けられない。対する関西福祉大も残留のために何が何でも勝ち点をもぎ取らねばならない一戦だ。試合は関福大のパスワークによる組み立てに対応した桃山大が、ボールを奪うと持ち味の走力を生かして一気にゴールを目指して攻めかかる。15分、ロングボールを受けたMF厚地陽賢(3年/ルーテル学院高)が頭で落としたボールを中盤で受けたFW李隆志(4年/東山高)がドリブルで一気に前進すると、巧みな切り返しでDFをかわして強烈なシュートを叩き込み先制する。
関福大は、前半押し込む場面を作りながらもシュートを打てず。後半に巻き返しを図るが、立ち上がりから桃山大の力強い前進になかなか決定機を作り出せない。75分にはMF田中裕翔(3年/大阪桐蔭高)がドリブルで二人をかわしミドルシュートを決めて桃山大が追加点。反撃を狙う関福大だが、85分にMF松下貴要(3年/日章学園高)、87分にDF岡楓太(3年/高川学園高)が2枚目の警告を受けて退場となってしまう。数的不利の状態で懸命に反撃するもタイムアップ。桃山大は後期初のクリーンシート勝利で4位へと順位を上げた。

上位を追い、インカレ出場権を得るためにはどちらも勝ち点3を掴みたい同志社大vs京都産業大との対戦は、最後まで目が離せない展開となった。前半は、京産大がボールを保持して攻撃を組み立てていくが、25分、GK祓川ダニエル(1年/同志社高)からのロングパスをFW野頼駿介(3年/桐光学園高)が落としたボールをFW鹿取勇斗(4年/桐光学園高/熊本内定)が反転して右足を振り抜き、同志社大が先手を取る。
同志社大は51分にも、MF馬場啓太朗(4年/大阪桐蔭高)が右サイドからドリブルで抜け出してニアにシュートを打ち込み追加点。京産大も57分、MF伊藤翼(3年/セレッソ大阪U-18)が高い位置でプレスを掛けて奪うと、MF皿良立輝(2年/セレッソ大阪U-18)がGKの頭上を越えるループシュートで反攻を開始するが、同志社大は77分、MF中山織斗(3年/國學院大學久我山高)がDFに囲まれながらも強引に前進し、3点目をマークする。
しかし、京産大は90+1分にMF山村朔冬(2年/帝京長岡高)からのボールを上手くスペースで受けたFW太仁紫音(1年/真宗大谷学園大谷高)がシュート。一度はGKに阻まれるも、FW太仁がこぼれ球をゴールへねじ込み1点差に。さらに90+3分、スピードあるパスで前進して相手を押し込むと、クリアボールを奪ったMF山村が仕留めて同点に追いつく。両チーム最後まで勝ち越し点を狙って激しい攻防を見せたが、勝ち点1を分け合うに留まった。

前節の結果で、自動降格圏の11位となった大阪経済大は何としても勝利して順位を浮上させたいと立ち上がりから勢いを持ってセカンドボールを奪い、リーグ首位の関西学院大を押し込んでいく。すると14分、ロングスローの流れからDF藤島凌久(4年/東海大学付属大阪仰星高)が上げたクロスにFW水永直太朗(2年/東海大学付属大阪仰星高)がファーで頭で押し込み、リードを奪う。追う関学大も徐々に攻撃のリズムを作れるようになり、42分、MF棟近禎規(2年/興國高)のスルーパスに抜け出したMF内田康介(2年/名古屋グランパスU-18)がヒールでFW山本吟侍(2年/高川学園高)へつなぐ。FW山本吟侍に大経大DFがボールを奪いに行き、こぼれをMF先田颯成(2年/サガン鳥栖U-18)が決め切り、同点に追いつきハーフタイムを迎える。
後半は関学大がテンポを上げて試合を進めていくと、57分、相手のクリアボールを奪ったMF長滝谷洸斗(3年/近江高)がペナルティエリアの少し外からグラウンダーでシュートを決めて逆転に成功。さらに76分、相手のビルドアップのパスをMF内田が奪い、MF棟近へパス。MF棟近はDFの間へうまく抜け出したFW小西春輝(4年/サガン鳥栖U-18)へ送ると、FW小西がGKの股を通すシュートで3点目を奪い、相手を突き放す。関学大が鮮やかな逆転で首位を堅守となった。

逆転弾を決めた長滝谷(写真左)

前年度王者・阪南大は昨年同様に後期になり一気にギアを上げ、4連勝と勢いに乗っている。この日も大阪学院大を圧倒。25分、左サイドから仕掛けたFW金本毅騎(3年/セレッソ大阪U-18/C大阪内定)がゴールを陥れて先制すると、立て続けに30分にもFW金本が左足で技ありシュートを決めて追加点。さらに33分には、FW金本のパスを受けたMF秋末翔也(1年/宮崎日本大学高)がGKの動きを見てふわりと浮かせる冷静なゴール。阪南大が3点をリードして前半を折り返す。
52分にも阪南大はCKからの波状攻撃でMF秋末がゴール前に上げたボールをDF金子光汰(4年/船橋市立船橋高/松本内定)が頭でねじ込み、点差を広げる。大院大もMF庄大空(2年/静岡学園高)、FW鈴木仁也(4年/加島学園高)を投入して徐々にチャンスを作り出していく。85分にDF後藤雅人(1年/大分トリニータU-18)のクロスに走りこんだFW鈴木仁也がゴールするが、反撃もここまで。阪南大が好調さを維持し、首位・関学大を追走する結果となった。

初優勝を目指す甲南大としては、3連戦をしっかりと勝ち切りたいところだが、先にゲームを動かしたのは京都橘大だった。18分、DF宮嶋大輝(4年/京都橘高)の縦パスを受けたFW松村尚樹(4年/鹿島学園高)が冷静に左へ出すと、走りこんできたFW伊原快(2年/玉野光南高)がニアを抜いてネットを揺らす。甲南大も27分、ゴール前でMF泉彩稀(4年/ヴィッセル神戸U-18)からパスを受け、FW泉光太郎(2年/静岡学園高)がシュートを放つが、枠をとらえることができない。
甲南大は早い選手交代で攻撃に変化を作り出していくと、73分、敵陣内で奪ったボールをMF諏訪晃大(3年/桐生第一高)がゴール前に送ると、MF泉彩稀が頭で合わせて同点に追いつく。京都橘大は直後の74分、右サイドから切り込んだDF沖秀大(4年/東海大学付属大阪仰星高)がエリア内で倒され、PKを獲得。だが、FW伊原のキックを甲南大GK足立優(3年/ガンバ大阪ユース)が見事なセーブではじき、勝ち越し点とはならない。甲南大も決定機を作りながら京都橘大の守備を崩せずにいたが、89分、左サイドをロングフィードにドリブルで抜け出したFW伊藤小次郎(2年/V・ファーレン長崎U-18)が、えぐってゴール前へ入れると、FW大西悠斗(4年/兵庫県立有馬高)が落ち着いて流し込み、逆転弾。しぶとく勝ち切った甲南大が3位をキープした。

死闘となったのは関西大vs大阪体育大の一戦だ。インカレ出場権のボーダーラインに位置する大阪体育大は勝ち点3獲得のために、立ち上がりからスピードと強度を全開にして関西大ゴールへと襲い掛かる。大体大の攻撃の圧力に、後手を踏む時間帯を強いられていた関西大だが、前半終了間際、大体大DFがゴールラインを割ったとして返したボールをGKが手で処理したところ、ラインを割り切っておらずハンドの判定を受けて間接FKが与えられる。MF三木仁太(4年/ガンバ大阪ユース/藤枝内定)、MF村井天(3年/飯塚高)が続けざまにパワーシュートを放つが、大体大も身体を張ってこれを阻止。しかし、セカンドボールをひろった関西大DF藤井龍也(1年/セレッソ大阪U-18)が逆サイドへ出したボールをMF真田蓮司(3年/東山高)がヘディングでゴールに決めて、関西大が先制してハーフタイムを迎える。
後半は両者互角の展開となる中、62分、大体大はスローインから素早く展開し、MF三島典征(1年/立正大学淞南高)がアーリークロス。走りこんできたMF矢田幸紀斗(1年/ガンバ大阪ユース)が頭で合わせて試合を振り出しに戻す。互いに交代でフレッシュな選手を投入してチャンスにつなげる中、90+2分、MF北村圭司朗(3年/東山高)がDF和泉圭保(2年/ガンバ大阪ユース)からのパスを受けて仕掛け、右上にコントロールショットを決めて関西大が勝ち越しに成功する。ところが90+4分にゴール前の競り合いで関西大DF大西志有太(4年/磐田東高)が負傷でピッチから退くことになり、交代カードを使い切っていた関西大は残り時間を守備の要抜きで闘うことになる。そして90+9分、MF佐藤宏耀(1年/東福岡高)がヘッドで前に出したボールがラインの裏へでたところへ、DF池戸柊宇(2年/京都橘高)が走り込み、ニアサイドを射抜いて大体大が再度同点に追いつく。高い熱量のバトルは両者痛み分けのドロー決着となった。

互いに譲らず痛み分けのドローとなった

《2025年 第103回 関西学生サッカーリーグ後期第6節》
▽2025/10/15 15:30 Kick off – ヤンマーフィールド長居
関西学院大 3-1(1-1) 大阪経済大
得点:’14 大経大/水永直太朗(藤嶋凌久、大隅颯)、’42 関学大/先田颯成、’57 関学大/長滝谷洸斗、’76 関学大/小西春輝(棟近禎規)

▽2025/10/15 18:00 Kick off – ヤンマーフィールド長居
関西大 2-2(1-0) 大阪体育大
得点:’45+1 関西大/真田蓮司(藤井龍也)、’62 大体大/矢田幸紀斗(三島典征)、’90+2 関西大/北村圭司朗(和泉圭保)、’90+9 大体大/池戸柊宇(佐藤宏耀)

▽2025/10/15 15:30 Kick off – たけびしスタジアム京都
同志社大 3-3(1-0) 京都産業大
得点:’25 同志社/鹿取勇斗(野頼駿介)、’51 同志社/馬場啓太朗(吹田航晟)、’57 京産大/皿良立輝(伊藤翼)、’77 同志社/中山織斗、’90+1 京産大/太仁紫音(山村朔冬、妹尾颯斗)、’90+3 京産大/山村朔冬

▽2025/10/15 18:00 Kick off – たけびしスタジアム京都
甲南大 2-1(0-1) 京都橘大
得点:’18 京都橘/伊原快(松村尚樹、宮嶋大輝)、’73 甲南大/泉彩稀(諏訪晃大)、’89 甲南大/大西悠斗(伊藤小次郎)

▽2025/10/15 11:30 Kick off – 三木総合防災公園陸上競技場
桃山学院大 2-0(1-0) 関西福祉大
得点:’15 桃山大/李隆志(厚地陽賢)、’75 桃山大/田中裕翔

▽2025/10/15 14:00 Kick off – 三木総合防災公園陸上競技場
阪南大 4-1(3-0) 大阪学院大
得点:’25 阪南大/金本毅騎(篠田純之助)、’30 阪南大/金本毅騎(坪井風汰、金子光汰)、’33 阪南大/秋末翔也(金本毅騎、坪井風汰)、’52 阪南大/金子光汰(秋末翔也)、’85 大院大/鈴木仁也(後藤雅人)

蟹江 恭代

関西を中心に、大学サッカーの写真を撮ったり、記事を書いたりしています。

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