’25 関西学生リーグ後期第8節/上位対決を制した関学大が首位キープ。攻撃力爆発の阪南大が3差で追走。ここまで後期未勝利の関福大の2部降格が決定。

見るものにとってはこれ以上にない見ごたえのある接戦となっている関西学生リーグ。今節は勝敗により順位が大きくシャッフル。一戦一戦がしびれる戦いになっている。

後期1勝4敗2分と波に乗り切れない同志社大は、ここ3試合負けなしの大阪体育大と対戦。試合を動かしたのは上り調子の大体大。11分、MF辻耕大(4/東福岡高)のロングスローをニアでDF池戸柊宇(2年/京都橘高)が、さらに中央でFW三島拓人(1年/立正大学淞南高)が競って落としたボールをFW上岡士恩(1年/広島県瀬戸内高)が流し込み、先取点とする。同志社大もセットプレイでチャンスを作るが得点は奪えないまま、ハーフタイムを迎える。
巻き返しを図る同志社大は、52分、MF馬場啓太朗(4年/大阪桐蔭高)が右サイドをドリブルで抜けて上げたクロスが相手DFのハンドを誘発し、PKを獲得。主将・MF鹿取勇斗(4年/桐光学園高/熊本内定)がしっかりと決める。同点に追いついた勢いのまま、同志社大はMF中山織斗(3年/國學院大學久我山高)のドリブル突破から多くの好機を作るものの追加点は奪えない。大体大も速い攻守の切り替えから決定機につなげるが、得点とはならず、互いに勝ち点1を分け合うに留まった。

勝ち点1を分けるにとどまった同志社大と大体大。

前節、不戦勝という形で勝ち点3を獲得し、当初の1部残留を決めた桃山学院大。ここからはより高みを目指す戦いとなる。対する大阪学院大は関西学院大、阪南大と立て続けに大敗を喫しており、何とかここで悪循環を断ち切って残留争いから抜け出したいところ。試合は4分、MF厚地陽賢(3年/ルーテル学院高)がゴール前に入れたボールを、FW辻颯人(4年/ジュビロ磐田U-18)がヒールで送ると、FW藤枝康佑(4年/東山高/松本内定)が仕留め、桃山大が早々にリードを奪う。大院大も丁寧に繋ぎながら幅を使って試合を進めていくと、41分、DF岡田佳己(4年/京都橘高)のスルーパスを受けたMF鳥井禅音(2年/サンフレッチェ広島F.Cユース)が速くスペースに送ったボールをFW北田統士(4年/大阪学院大学高)が決めて同点としたのも束の間、44分にゴール前で競り合ったこぼれ球を拾ったMF原田幹太(3年/レノファ山口U-18)が右足で豪快に叩き込み、再び桃山大がリードを奪う。
後半、攻勢に出たい大院大だったが、49分、相手DFからボールを奪おうとしたFW北田のプレーがファウルとなり、2枚目の警告で退場となってしまう。桃山大の走力を生かした攻撃を、一人少ない状態で耐えながらも攻撃の糸口を探る大院大だったが、60分、FW李隆志(4年/東山高)が左から入れたクロスを一度はGKが防ぐが、FW藤枝がいち早くこぼれ球を蹴り込み、2点差とする。さらに70分、左サイドをえぐってドリブルでエリア内に侵入したMF村上愛和(4年/東海大学付属福岡高)が倒されてPKを獲得。得点王・藤枝がこれを決めてハットトリック達成。大院大の反撃を許さず、桃山大が勝ちきった。

ハットトリックを決めた藤枝を祝福する加藤

大阪経済大vs京都橘大は残留を争う”6ポイントマッチ”。序盤、大経大がスピードとパワーを生かして京都橘大を押し込むと、14分、MF片山颯真(3年/ヴィッセル神戸U-18)の左CKをゴール前でDF横窪皇真(1年/東海大学付属大阪仰星高)が頭で合わせて先制する。30分過ぎから京都橘大も相手陣内へ深く攻め入る場面を作るようになるが、大経大の守備を崩しきることはできない。
緩急をつけた組み立てで、後半は主導権を握った京都橘大だが、大経大も身体を張った守備で得点を許さず、奪った後の速い切り替えから追加点のチャンスを作るが、こちらも決められず。ウノゼロで勝ち切った大経大が後期2節以来の勝利をつかみ、順位をひとつ上げる結果となった。

関西福祉大はここで勝たなければ降格が決まるという後がない状況。しかし、試合はホームの京都産業大が主導権を握って進めていく。京産大の多彩な攻撃を耐えながらチャンスをうかがっていた関福大だが、40分、MF田代紘(3年/ヴィッセル神戸U-18)のアーリークロスにFW高川諒希(1年/カターレ富山U-18)がボレーで合わせて均衡を破る。
さらに47分、MF伊藤翼(3年/セレッソ大阪U-18)の縦パスにFW高川が抜け出し、ゴール前へパス。これをFW妹尾颯斗(3年/サンフレッチェ広島F.Cユース)がスルーしたところへMF皿良立輝(2年/セレッソ大阪U-18)が走りこんで追加点。関福大も56分、FW矢野陸(1年/金光大阪高)が前に出てきたGKをかわしてゴールを決め1点差とするが、66分、相手DFのクリアボールを拾ったMF伊藤がミドルシュートでネットを揺らして京産大が再び差を広げる。終了間際にはMF長谷川裟恭(4年/京都橘高)のCKをDF小野成夢(3年/愛媛FCU-18)がヘッドでたたきつけ勝負を決定づける4点目。5位へと順位を浮上させた。敗れた関福大は残留を果たせず。下級生も多いチームだけに、残り試合これからにつながる戦いを見せてほしいものだ。

得点を決めた皿良が妹尾とともにポーズをとる

首位の関西学院大と、勝ち点4差で追う3位・甲南大の”兵庫ダービー”は息詰まる一戦となった。前半は互いに持ち味を出しつつ、手堅く試合を進む。スコアが動いたのは、42分、MF内田康介(2年/名古屋グランパスU-18)の右CKをDF山本楓大(3年/サガン鳥栖U-18/京都内定)がヘッドで合わせる。これは甲南大DFが防ぐが、そのこぼれ球をMF先田颯成(2年/サガン鳥栖U-18)が押し込み、関学大が先手を取る。
甲南大が反撃に出た後半早々、49分にMF岡本大生(4年/奈良育英高)のパスに抜け出したMF諏訪晃大(3年/桐生第一高)が一気にドリブルで前へ行こうとしたところを、関学大DF古田東也(3年/V・ファーレン長崎U-18)がストップ。このプレーでDF古田は退場となってしまう。ここから甲南大は一気に攻撃の圧を強めていくが、関学大はGK宮本流維(4年/名古屋グランパスU-18)を中心に集中した守備で凌ぐと、72分、自陣でクリアボールを受けたMF篠原駿太(4年/神村学園高)がドリブルで一気に右サイドを駆け上がると、ゴール前にラストパス。FW小西春輝(4年/サガン鳥栖U-18)が相手DFの間でヘディングで貴重な追加点を決める。甲南大の猛攻を防ぎきった関学大がクリーンシートで4連勝を飾った。

追加点を決めた小西が応援の仲間の元へ

リーグ制覇した昨シーズン同様に、阪南大は後期になって一気にギアを上げてきた。対戦相手の関西大は前節を感染症理由の活動停止により不戦敗に。ケガ人も多く、苦しい状況が続いているが、嫌な流れを断ち切るためにもここで勝利をつかみたい。試合の主導権を握ったのは阪南大。スピード感ある連動を見せて、関西大を押し込んでいくと、19分、DF川端元(3年/履正社高)から、FW金本毅騎(3年/セレッソ大阪U-18/C大阪内定)、MF秋末翔也(1年/宮崎日本大学高)と狭いところでテンポよく繋ぎ、最後はDF川端がミドルシュートで仕留めて得点を上げる。25分には右サイドからMF山田晃市(3年/四国学院大学香川西高)のクロスをFW金本があたまですらして追加点。26分にもサイドのパスワークから、MF櫻井文陽(4年/阪南大学高/群馬内定)が決めて、リードを広げる。関西大も33分、FW兎澤玲大(2年/京都サンガF.C.U-18)が右サイドで振り抜いて1点を返すが、阪南大は38分にゴール前のこぼれ球をDF二人に競り勝ち、冷静にゴールへ決めて突き放す。
FW金本は56分のリトビン(4年/藤枝明誠高)のゴールも起点となり、この日の全得点に関与する活躍で攻撃を牽引。関西大も後半はDF桑原航太(3年/帝京長岡高/磐田内定)やDF藤谷温大(1年/柏レイソルU-18)が積極的に仕掛けてチャンスを作るが、ゴールネットを揺らすことはできず、悔しい敗戦となった。

圧巻のパフォーマンスを見せた金本

《2025年 第103回 関西学生サッカーリーグ後期第8節》
▽2025/10/25 11:30 Kick off – 大阪体育大学人工芝サッカー場
同志社大 1-1(1-0) 大阪体育大
得点:’11 大体大/上岡士恩(三島拓人、池戸柊宇)、’52 同志社/鹿取勇斗(PK)

▽2025/10/25 14:00 Kick off – 大阪体育大学人工芝サッカー場
桃山学院大 4-1(2-1) 大阪学院大
得点:’4 桃山大/藤枝康佑(辻颯人、厚地陽賢)、’41 大院大/北田統士(鳥井禅音)、’44 桃山大/原田幹太、’60 桃山大/藤枝康佑、’70 桃山大/藤枝康佑(PK)

▽2025/10/26 11:30 Kick off – 京都産業大学神山球技場
大阪経済大 1-0(1-0) 京都橘大
得点:’14 大経大/横窪皇真(片山颯真)

▽2025/10/26 14:00 Kick off – 京都産業大学神山球技場
京都産業大 4-1(1-0) 関西福祉大
得点:’40 京産大/高川諒希(田代紘)、’47 京産大/皿良立輝(高川諒希)、’56 関福大/矢野陸、’66 京産大/伊藤翼、’90 京産大/小野成夢(長谷川裟恭)

▽2025/10/26 13:00 Kick off – 甲南大学ラグビー場兼サッカー場
関西学院大 2-0(1-0) 甲南大
得点:’42 関学大/先田颯成、’72 関学大/小西春輝(篠原駿太)

▽2025/10/26 15:30 Kick off – 甲南大学ラグビー場兼サッカー場
関西大 1-5(1-4) 阪南大
得点:’19 阪南大/川端元(秋末翔也、金本毅騎)、’25 阪南大/金本毅騎(山田晃市)、’26 阪南大/櫻井文陽(金本毅騎)、’33 関西大/兎澤玲大(桑原航太、今西佑)、’38 阪南大/金本毅騎、’56 阪南大/リトビン(山田晃市、金本毅騎)

蟹江 恭代

関西を中心に、大学サッカーの写真を撮ったり、記事を書いたりしています。

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