セレッソ大阪は、5月8日に阪南大FW金本毅騎(3年/セレッソ大阪U-18)の2026年シーズン加入内定を発表した。1年前倒しでの入団が発表されたが、阪南大・朴成基監督は「他チームからもオファーがあったけど、阪南大にもう一年残った上でセレッソを選択した。本人の戻りたいという気持ちが強かった」と金本の意思を尊重し、ゴーサインを出した。

C大阪から声がかかったのは、昨年11月23日に行われた関西ステップアップリーグ・C大阪vs関西選抜のときだが、熟考の末、答えを出したのは今年のシーズン開幕前のキャンプに参加した後。J2チームからも話があった中で、ユース時代からの同期であるC大阪・北野颯太選手の言葉が古巣帰還を決定づけるのに大きく影響したという。「『J1じゃなくJ2に行くかな』という考えを最初持っていて、色々考えてる中で颯太とかも相談に乗ってくれた。颯太からキャンプの時に『J1で一年目はやったほうがいいで』っていう言葉をもらったのは大きかった」と金本は決定までの経緯を振り返る。
また、アカデミーのときから応援してくれているサポーターの存在も、金本にとって選択の決定打となっていた。「自分にとってセレッソは第二の家みたいな感じ。アカデミーのサポーターの皆さんには本当に良くしてもらっている。大学に入ってからも『頑張って』とわざわざ声をかけてくれるのが本当に嬉しくて、そういう人達を喜ばせるためにも、やっぱり戻らないとなっていう考えだった」とサポーターへの感謝を胸に進路を決めた。

トップチーム昇格が叶わなかったとき、金本は様々な進路を模索していた。Kリーグチームの練習にも参加したが、韓国在住の場合、兵役が義務となるため加入を断念。C大阪U-18・島岡健太監督(現・南葛SCコーチ)から「大学に行ってもう一回頑張ったら絶対帰って来れる」という言葉をもらい、大学進学を選択肢とした。当初、阪南大に進む考えはなかったが、阪南大OBでもあるC大阪U-15・金晃正コーチ(現・C大阪U-18監督)から同大学を勧められたことをきっかけに、進路を定めたのが1月。すでにスポーツ推薦枠は埋まっていたため一般入試で合格し、サッカー部に入部した。「中学時代から存在は知っていたが、まさかうちに来るとは思わなかった」と朴監督も当時の驚きを話す。

合格発表の前からAチームに参加していた金本は、1年の開幕戦からリーグに出場。2年次には18ゴールを上げて得点王に輝く結果を残し、古巣への帰還につながる実力をアピールした。「僕はレベルの高いところでやることで必然的に『食らいついていけ』っていう強い気持ちが芽生えてきて、自分のレベルがどんどん上がっていくタイプ。阪南はみんなレベル高いので、普通にやってても試合に出れないと思ったので必死になって取り組んだ」と急成長の要因を分析する。「金コーチのおかげで阪南大に入れたし、島岡監督も最後まで進路のことを気にかけてくれて、すごく感謝してます。入学も決まっていないうちからAチームに入れてくれて、成長してセレッソに帰れる。朴監督にも感謝の気持ちでいっぱいです」と自身を支えてくれた方々への思いも口にする。

U-18時代ともに戦った北野颯太選手は際立った活躍でC大阪の勝利に貢献し、海外移籍が有力と報道されている。「颯太はユースの時から上手かったので、ああいう選手が活躍してくれないと不安になってしまう。颯太がJ1でも出来ると証明してくれているので僕らも自信になる。裏を返せば年齢関係なく活躍できると颯太が思わせてくれた」と大きな刺激になっている同期への想いを笑顔で語った。
阪南大での授業と練習に並行して、すでにC大阪の練習にも参加しており、「練習はすごく楽しい。1時間しか練習時間はないけど、すごくきついし、内容も濃いのでとても良いです」と充実した日々を送っている。「セレッソではひたすら点を取る点取り屋になりたい」と1年目からの活躍を誓う。先日、帰化申請も通ったため、金本は将来の夢に日本代表を挙げており、桜の戦士としての誇りを胸に世界に羽ばたく選手へ成長していくことに期待したい。

