’25 関西学生リーグ第9節/京都橘大が快勝で最下位脱出。関西大はスコアレスドローで、次節関関戦は勝ち点3差の首位決戦に。

前期リーグも9節を迎えるが、関西学生リーグはいずれも実力伯仲の混戦状態が続く。関西選手権での中断までに抜け出すチームは出てくるのか。

首位を追う2位・関西学院大と3位・甲南大の対戦は、立ち上がりは互いに探り合う状態。関学大がMF篠原駿太(4年/神村学園高)のサイド攻撃を生かして前半は押し気味にゲームを進めるが、甲南大もGK山田克樹(4年/東海大学付属大阪仰星高)のファインセーブもあり、ゴールを割らせない。甲南大も40分すぎにFW宮崎陽(1年/V・ファーレン長崎U-18)が決定機を作るが枠を捉えられず、前半はスコアレスで折り返す。雨が激しくなってきた後半、試合は動く。56分、DF山本楓大(3年/サガン鳥栖U-18)がゴール前に斜めに入れたボールを受けたMF先田颯成(2年/サガン鳥栖U-18)が左のスペースに待つFW山本吟侍(2年/高川学園高)にパス。FW山本(吟)が右足を一閃し、関学大が先制点を獲得する。甲南大は中盤の選手を入れ替えて変化をつけようとするが、相手ゴール前まで運ぶものの関学大の身体を張った守りにシュートを撃ちきれず、得点ならず。関学大がウノゼロで兵庫県対決を制した。

得点を決めた山本吟侍がアシストの先田颯成とハグ

前節、リーグ初黒星を喫した大阪体育大は、同志社大との対戦。大体大はテンポよく左右にボールを回して攻め込むが、同志社大GK祓川ダニエル(4年/同志社高)が立ちはだかる。33分MF佐野竜眞(4年/広島県瀬戸内高)が左からファーに送ったクロスをフリーでFW臼田成那(2年/ノースアジア大明桜高)がシュートするが、GK祓川がブロック。38分にも大体大は波状攻撃を仕掛けるが、GK祓川のセーブの前に得点を奪うことができない。すると後半、同志社大が先手を取る。57分に右サイドから直接FKをMF鹿取勇斗(4年/桐光学園高)が入れると、FW野頼駿介(3年/桐光学園高)が巧みにDFの前でヘッドで合わせて得点をマークする。大体大も61分に有竹翔吾(3年/日本大学藤沢高)が右足で鋭いボレーを放つが、ここもGK祓川がブロック。大体大は終盤、ロングボールを入れて幾度も決定機を作るが、ことごとくGK祓川の好守に阻まれて得点を奪うことができず、2連敗となった。

先制点を決めて笑顔で駆ける野頼駿介

手堅い守備で首位に位置する関西大は、今季なかなか結果が出せずに苦しい状態にある大阪学院大との対戦。試合は関西大が右サイドのDF桑原航太(3年/帝京長岡高)とMF真田蓮司(3年/東山高)のコンビネーションからチャンスにつなげていく。対する大院大はセットプレーから好機を生み出すが、リーグ初スタメンの関西大GK山田光真(2年/サンフレッチェ広島F.Cユース)の牙城を崩すには至らない。後半になると、互いに交代選手を起用して主導権を握ろうとする両チームだが、攻守が頻繁に入れ替わるもゴールを割ることができない。両チームスコアレスで勝ち点1を分け合う結果となった。

京都橘大と関西福祉大は共に下位に甘んじており、浮上のきっかけとなる勝利が欲しいところだ。立ち上がりは関福大がロングスローとセットプレーでチャンスを作るが、京都橘大はビルドアップからMF鎌田翔大(4年/京都橘高)のクロスをFW小橋川海斗(3年/米子北高)がヘディングしたボールがポストに当たった跳ね返りを、再びFW小橋川が頭で押し込み、8分に先制点を奪う。関福大も丁寧にパスを繋いで組み立てていくが得点につなげられず、京都橘大のリードで前半を折り返すが、55分、DF吉本篤史(2年/熊本県立大津高)のロングスローを、DF田橋征也(2年/V・ファーレン長崎U-18)、DF占部天寿(3年/愛媛FCU-18)が続けてヘッドですらし、最後はMF松下貴要(3年/日章学園高)が頭で流し込み、関福大が同点に追いつく。しかし、京都橘大は攻撃の勢いを緩めずに積極的に仕掛けていくと、68分、DF岩崎幸大(3年/広島県瀬戸内高)の縦パスに抜け出したMF大山晃生(3年/V・ファーレン長崎U-18)が相手DFをかわして前進し、ゴール前へと入れたボールをFW小橋川が合わせてこの日2点目。さらに80分、DF沖秀大(4年/東海大学付属大阪仰星高)のアーリークロスを、MF吉野歩夢(1年/京都橘高)が頭で決めて大学初ゴール。86分にはFW池久保絢斗(2年/阪南大学高)の得点でリードを広げ、京都橘大が会心の勝利で10位までに順位を上げた。対して4連敗で最下位となった関福大、ここからの奮起を期待したい。

攻撃を牽引した小橋川海斗(写真右)は、ドッピエッタ

スタートダッシュに成功した桃山学院大は、ここにきて2連敗。負の連鎖を止めるべく臨んだ試合だが、前節快勝で勢いに乗る大阪経済大のパワーとスピードに立ち上がりから防戦を強いられる。桃山大は耐えながらも反撃の機会を見逃さない。9分、自陣ゴール前でボールを奪うと、MF田村遊吏(2年/履正社高)が前のMF蘓鉄航生(3年/ヴィッセル神戸U-18)とのパス交換から一気にドリブルで駆け上がり、ペナルティエリア内で相手に倒されてPKを獲得する。FW藤枝康佑(4年/東山高)が左上に蹴り込み先制する。大経大もパワフルな攻撃でセットプレーを獲得すると、MF山本諒(1年/近江高)やDF小林拓斗(2年/青森山田高)が鋭いシュートを放つが、桃山大は決死のブロックで失点を防ぐ。大経大は後半、DF大隅颯(4年/近江高)をボランチに上げて3バックに変更し、攻撃の圧力を高めていく。69分、桃山大は中盤でボールを奪い、MF厚地陽賢(3年/ルーテル学院高)がボールを運ぶも奪い取られたところを、MF石橋聖也(2年/サンフレッチェ広島F.Cユース)が再奪取。守備に寄せられながらもキープしてゴール前へとパスを入れたところへ、GKの前へとFW藤枝が走り込み、値千金の追加点を決める。大経大も74分、直接FKのこぼれ球をMF桑原颯太(2年/横浜F・マリノスユース)が叩き込み追い上げを開始するが、桃山大がしぶとく守りきり勝ち点3を獲得した。

ゴールを決めて吠える藤枝康佑。9試合で10得点とストライカーとしての実力を発揮

京都産業大vs阪南大は、京産大が天皇杯出場により5月28日に開催された。中3日のハードスケジュールとなった京産大は、フレッシュな阪南大の勢いに序盤から押し込まれる。11分、阪南大は前線からプレスを掛けて相手のパスミスを誘うと、素速くボールを奪ったMF櫻井文陽(4年/阪南大学高/群馬内定)がDFの背後へパス。これをMF篠田純之助(4年/東福岡高)が決めて先行する。京産大も20分に左CKをMF田代紘(3年/ヴィッセル神戸U-18)が頭ですらしたボールを、DF滝口晴斗(3年/サンフレッチェ広島F.Cユース)がヘッドで押し込み同点に。追いつかれた阪南大は慌てることなくMF櫻井の運動量とパスワークを中心に攻撃の主導権を握ると、33分、中央を崩して抜け出したDF後藤然(4年/ルーテル学院高)のシュートのこぼれ球をMF櫻井が決めて再びリードすると、立て続けに34分にMF松井匠(4年/高知高)のクロスを京産大DFがブロックしたこぼれをFW金本毅騎(3年/セレッソ大阪U-18/C大阪内定)が詰めて追加点とする。京産大は後半頭からMF伊藤翼(3年/セレッソ大阪U-18)、MF末谷誓梧(3年/セレッソ大阪U-18)、MF皿良立輝(2年/セレッソ大阪U-18)の3人を投入し、47分、そのMF末谷が決めて1点差とする。その後も京産大は阪南大を押し込み幾度も決定機を作るが、3点目を奪えない。すると79分、左サイドでMF松井(匠)がボールを奪ってドリブルで侵入するとゴール前へとラストパス。FW金本がこの日2点目を決めて京産大を突き放す。88分にも中盤でボールを奪った阪南大が、大きな展開からMF松井(匠)が仕留めて勝負を決定づけた。阪南大の攻撃力が遺憾なく発揮された一戦となった。

仲間とハイタッチをかわす金本毅騎

《2025年 第103回 関西学生サッカーリーグ第9節》
▽2025/05/24 11:30 Kick off – アクアパルコ洛西
関西学院大 1-0(0-0) 甲南大
得点:’56 関学大/山本吟侍(先田颯成、山本楓大)

▽2025/05/24 14:00 Kick off – アクアパルコ洛西
大阪体育大 0-1(0-0) 同志社大
得点:’57 同志社/野頼駿介(鹿取勇斗)

▽2025/05/25 11:30 Kick off – 万博記念競技場
関西大 0-0(0-0) 大阪学院大

▽2025/05/25 11:30 Kick off – 皇子山総合運動公園陸上競技場
京都橘大 4-1(1-0) 関西福祉大
得点:’8 京都橘/小橋川海斗(鎌田翔大)、’55 関福大/松下貴要(占部天寿、田橋征也)、’68 京都橘/小橋川海斗(大山晃生)、’80 京都橘/吉野歩夢(沖秀大)、’86 京都橘/池久保絢斗(伊原快)

▽2025/05/25 14:00 Kick off – 皇子山総合運動公園陸上競技場
大阪経済大 1-2(0-1) 桃山学院大
得点:’10 桃山大/藤枝康佑(PK)、’69 桃山大/藤枝康佑(石橋聖也)、’74 大経大/桑原颯太

▽2025/05/28 17:30 Kick off – たけびしスタジアム京都
阪南大 5-2(3-1) 京都産業大
得点:’11 阪南大/篠田純之助(櫻井文陽)、’20 京産大/滝口晴斗(田代紘、大倉慎平)、’33 阪南大/櫻井文陽(後藤然)、’34 阪南大/金本毅騎(松井匠)、’47 京産大/末谷誓梧(高川諒希)、’79 阪南大/金本毅騎(松井匠)、’88 阪南大/松井匠(中田有祐)

蟹江 恭代

関西を中心に、大学サッカーの写真を撮ったり、記事を書いたりしています。

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